キソスタ

基礎を調べるきっかけを集めてみました。

ELISA法についてちょっと気になったので、大事なことをブログ記事にします。

 

 

ELISA法とは

ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)は、アンチボディまたは抗原を検出・定量するための一般的な実験手法で、その基本的な原理やステップについて説明します。

吸着:

ELISAは特定の抗原またはアンチボディを試験管やウェル(プレートの小さな穴)に結合させるところから始まります。これをキャプチャ(捕捉)分子と呼びます。

ブロッキング

次に、非特異的な結合を防ぐために、ウェル全体をブロッキングバッファで処理します。これにより、後のステップで他の分子が誤って結合するのを防ぎます。

検出:

次に、試料を加えます。この試料は、検出したい抗原またはアンチボディを含んでいます。これらの目的の分子はキャプチャ分子に結合します。

洗浄:

ウェルは洗浄され、結合していない物質が除去されます。

信号の発生: 検出抗体(または抗原)が加えられます。これは通常、酵素に結合され、この酵素は後で化学的な反応を引き起こすための「トリガー」を提供します。

洗浄:

もう一度ウェルを洗浄し、結合していない検出抗体を除去します。

発色:

最後に、基質と呼ばれる化合物が加えられます。

この基質は、先ほどの酵素によって変換され、色を発生します。

読み取り:

特定の光波長で光吸収度(色の強さ)を測定することで、抗原またはアンチボディの量を定量します。

 

以上がELISAの基本的な手順です。

 

この手法は、病原体の感染、アレルギー反応、オートイミュン疾患など、さまざまな状態を検出するために用いられます。また、この手法は感度が高く、大量の試料を一度に処理できるため、医療や研究の分野で広く使用されています。


固相化って何をすることですか?

"固相化"とは、一般的には、特定の分子(通常は抗体または抗原)を固体の支持体(たとえばプラスチックのウェル、ビーズなど)に結合させるプロセスを指します。このプロセスは、ELISA酵素連結免疫吸着試験)のような免疫学的試験で非常に重要な役割を果たします。

ELISAの文脈では、"固相化"はプレートのウェルに抗体または抗原を結合させる最初のステップを指すことが多いです。この結合は、抗体または抗原がプラスチックに直接吸着するか、あるいは特定の化学的結合(共有結合や結合リンカーを介した結合など)を介して行われます。固相化された抗体または抗原はその後、試料中の目的の抗原または抗体を「捕捉」します。

したがって、"固相化"は抗原-抗体反応を物理的に「固定」し、特定の反応を促進するために用いられます。


どうやったら、分子を支持体に結合できるの? わかりやすく原理を教えて

分子を支持体に結合させる方法はいくつかありますが、基本的には物理的吸着と共有結合の二つの主要なカテゴリに分けられます。

物理的吸着:

この方法は最も簡単で、抗原や抗体などの分子がプラスチックウェルやビーズなどの支持体表面に自然に結合するのを利用します。プラスチックは非極性の表面を持つため、これらの分子(特にたんぱく質)はしばしばその表面に吸着します。この方法の利点は、特別な化学処理が不要であることです。しかし、結合の安定性や配向性(つまり、分子が「正しい方向」を向いているかどうか)を制御することは難しいかもしれません。

共有結合:

これはより複雑な方法で、化学反応を利用して分子を支持体に固定します。一般的な方法の一つは、支持体上の機能基(例えばアルデヒド基)と分子(通常は抗体または抗原の一部)の間に共有結合を形成することです。この方法の利点は、結合の高い安定性と、結合の配向性を制御する能力です。しかし、この手法は特定の化学処理を必要とし、時には目的の分子の生物学的活性を変えてしまう可能性があります。

これらの方法の選択は、試験の目的、支持体の種類、対象となる分子の性質、そしてどの程度まで結合を制御したいかなど、さまざまな要因によって異なります。

 

物理的吸着は直接法、関節法ですか? 共有結合はサンドイッチ法、競合法があてはまりますか?

それぞれの方法とELISAの種類との間には直接的な対応関係はないです。物理的吸着と共有結合は、分子(通常は抗体または抗原)を支持体(たとえばマイクロプレートのウェル)に結合させる方法を指します。これはELISAの全ての形式で共通に行われます。

一方で、直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法などの用語は、ELISAがどのように設計され、試料中の目的の抗原または抗体をどのように検出するかを説明するために使われます。これらの方法は、結合方法(物理的吸着または共有結合)とは独立して選択され、適用されます。

具体的には:

直接法:

抗原が支持体に結合(物理的吸着または共有結合により)した後、その抗原を検出するための標識(通常は酵素)付き抗体が添加されます。

間接法:

これは直接法の変種で、抗原を検出する抗体に加えて、その抗体を検出するための二次抗体(通常は酵素で標識されている)が使われます。これにより感度が向上します。

サンドイッチ法:

支持体に結合した抗体("キャプチャ"抗体)が試料中の抗原を捕捉し、その上に二つ目の抗体("検出"抗体、通常は酵素で標識されている)が結合します。この方法は、高度に特異的で高感度な測定を可能にします。

競合法(または阻害法):

この方法では、試料中の抗原と標識された抗原が、支持体に結合した抗体との結合に競合します。試料中の抗原の量が多いほど、標識された抗原の結合が減少します。これにより、抗原の濃度を間接的に測定することができます。

それぞれの方法がどのように実装されるかは、実験の具体的な目的や要件、使用される抗原や抗体の性質によって異なります。

サンドイッチ法に適しているといわれる高分子物質とはどんなものですか?

サンドイッチ法(Sandwich ELISA)は主に、大きな分子量を持ち、複数のエピトープ(抗体が認識し結合する部位)を持つタンパク質を検出するために用いられます。これらのタンパク質は通常、2つの抗体(キャプチャ抗体と検出抗体)によって同時に認識・結合することができ、その特性がサンドイッチ法の基本的な要件を満たします。

以下に、一般的にサンドイッチ法で検出される高分子物質の例をいくつか挙げます:

サイトカイン:

サイトカインは免疫系の細胞が分泌するタンパク質で、体内の他の細胞と情報を交換するために用いられます。例えばインターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN)、トゥモアネクローシスファクター(TNF)などがあります。

増殖因子:

これらのタンパク質は細胞の増殖と分化を調節する役割を持ちます。例えばエピデルマルグロースファクター(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)などがあります。

ホルモン:

ホルモンは、体内のさまざまな細胞間で情報を伝達するために用いられる化学物質です。例えばインスリン、グルカゴン、甲状腺ホルモンなどがあります。

これらの高分子タンパク質は、それぞれに特異的な抗体を用いてサンドイッチ法で検出することが可能です。そしてこの方法は、これらの物質の濃度が低くても高感度で検出することが可能であり、またその特異性も高いため、研究や臨床診断の現場で広く用いられています。

 

競合法に適しているといわれる高分子物質とはどんなものですか?

競合ELISA(Competitive ELISA)は、主に小さい分子や単一のエピトープしか持たないタンパク質を検出するのに適しています。これらはサンドイッチ法で扱うには小さすぎるか、エピトープが1つしかないため、2つの異なる抗体で結合させることが難しいためです。

具体的な例としては以下のようなものが考えられます。

ホルモン:

例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)やコルチゾールなど、体内で生成される小さな分子のホルモンは、競合ELISAで検出するのに適しています。

薬物:

小さな分子量を持つ薬物やその代謝産物は、患者の血液中または尿中から検出するのに、競合ELISAが用いられます。例えば、抗生物質ステロイドなど。

低分子量ペプチド:

一部のペプチド(小さなタンパク質)もまた競合ELISAで検出されます。

これらのタイプの分析は、標本中の目的物質が抗体と結合するための「競合」を行い、その結果に基づいて物質の存在と量を推定します。この方法は特に低分子化合物を検出するのに有効で、研究だけでなく薬物検査や治療のモニタリングなどの臨床的な使用にも適しています。


競争ELISAは競合ELISAの書き間違いですか?

申し訳ありません、その通りです。"競争ELISA"は日本語訳の一部で、より一般的な英語表現である"Competitive ELISA"を意図していました。この方法は、標本中の目的物質が抗体と結合するための「競争」を行い、その結果に基づいて物質の存在と量を推定します。"競合ELISA"は同じものを指します。表現の混乱を招いたこと、お詫び申し上げます。

競争させることに意味があったんですね。

はい、その通りです。"競争ELISA"または"競合ELISA"は、試料中の抗原と標識された抗原とが同じ抗体と結合するために競争する原理を基にした手法です。

具体的には、最初に抗体が支持体に固定化され、次に試料抗原と標識抗原が同時に加えられます。このとき、試料抗原と標識抗原が同じ抗体の結合部位に対して競争します。

その結果、試料抗原の濃度が高いと、標識抗原の結合が抑制されるため、検出シグナルが低下します。逆に、試料抗原の濃度が低い場合は、標識抗原の結合が多く、シグナルが強くなります。

このようにして、試料中の抗原濃度を間接的に測定することができます。